モデルナ: 万年赤字企業が、世界を変えるまでを読みました

画像出典:UnsplashFons Heijnsbroek, abstract artが撮影した写真

モデルナ: 万年赤字企業が、世界を変えるまでを読みました。

モデルナのmRNA技術がどのように開発されたか、新型コロナウイルスワクチンがどんなスピード感で開発されたかを理解することができる本でした。

mRNAを用いたワクチンの仕組みを理解した範囲でメモしておくと

  • mRNAは細胞核内のDNAからコピーされた遺伝情報を細胞のより外側の部位に運ぶ役目を果たしており、目的の場所まで運ばれたmRNAは、そこで特定のタンパク質の合成を引き起こす
  • DNAがmRNAを、mRNAがタンパク質を、タンパク質が生命を作る
  • コロナウイルスのスパイクタンパク質のクローンを作り、免疫反応を引き出すのに十分な量を注射することで、免疫系にその撃退法を学ばせる
  • mRNAを利用したアプローチでは、人間の体をスパイクタンパク質製造工場に変える。mRANワクチンはスパイクタンパク質の遺伝情報を人間の細胞に送り届け、構造変化前のスパイクタンパク質を生成するよう指示する。すると、免疫系は生成されたスパイクタンパク質を侵入者ととらえ、しかるべく防衛反応をとって抗体やその他の細胞を作りだす。また、mRNAは細胞質に入れるだけでより簡単に導入できる。

本では、mRNAを使ったワクチンをITプラットフォームのように説明している点があり、上の構造を理解するとそれが理解しやすかったです。modernaのIPOの書類にはDNAがストレージ、mRNAがソフトウェア、タンパク質がアプリとして例えられていたようです。

自分の理解としては、人間の体に新しい免疫をインストールする → App Storeからアプリをインストールするというよりは、人間の体が免疫工場になる → ソースコードをビルドする みたいなイメージに近いのかなと思いました。

本を読みながらタイムランを理解するとタイミングがすごいと思いました。 modernaが上場したのが2018年12月、新型コロナウイルスが広がり始めたのが2019年12月。modernaが2020年1月にコロナウイルスのワクチン開発に取り掛かって承認されたのが12月。かつそれが創業から10年間での最初の製品ということで、ワクチンが承認されるスピード感もさることながら研究開発を重ねしかるべきタイミングでしっかりと成果を出しているmodernaを見ると、準備することとチャンスを掴むことの大切さを感じました。

私も新型コロナウイルスの影響をリアルタイムで受けて、modernaのワクチンが日本で受けられるようになったタイミングで接種したので当時のことを思い出しながらその時ワクチン開発の現場で起こっていたことを知ることができて良い本でした。

読書 モデルナ


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