This post was originally posted in Medium at 11/10 2015.
「インタラクションデザインの教科書」の著者であるDan Suffer氏の著書である。
サービスデザインやデザイン思考など、全体像を視野に入れて問題を解決するという観点に対し、それだけではなく”細部”のデザインにも注目しなければ、「許容範囲の製品」を超えた「こよなく愛する製品」になることはできないという主張を述べており、”細部”をデザインするためのノウハウが記載されている。
また本書の中では、20世紀のモダニズム建築を代表するミース・ファン・デル・ローエの「Less is more」(「God is in the detail 神は細部に宿る」なども提唱)や、20世紀のデザイナー、チャールズ・イームズの「細部は単なる細部にとどまらない。細部こそが製品を作り上げる」や、Braunのデザイナ、ティーター・ラムスの「Good design is thorough down to the last detail」など、著名なデザイナーの格言が取り上げられている。
マイクロインタラクションとは
マイクロインタラクションとは、我々の身の回りのいたるところにある最小単位のインタラクションを意味する。
そうしたマイクロインタラクションに焦点を当てることで、優れたユーザーエクスペリエンスを実現できる。
本書では、マイクロインタラクションをデザインするにあたり、その構造を以下の4つに分けている。
トリガー
マイクロインタラクションを起動するもの。手動トリガー(ユーザの動作によって起動される)と、システムトリガー(システムによって起動される)に分類される。
トリガーにとって最も大事なのは、コントロールであり、コントロールはマイクロインタラクションを開始させる能力を持ち、マイクロインタラクションが進行中であることを視覚的に示すシグニファイアとなる。
ルール
マイクロインタラクションが開始され一連の動作が行われる際のルール
フィードバック
機器やアプリのルールに関するユーザーの理解を助ける視覚的・聴覚的・触覚的な要素
ループとモード
マイクロインタラクションのメタルール(ルールのルール)となるもの。マイクロインタラクションを長期的に見てどうするかを定義するもの。
また、マイクロインタラクションをベースにして、アプリやサービスを構築する手法として3つ挙げられている。
マイクロインタラクションを一つ一つ個別に検討していく方法
製品の個々の構成要素に磨きをかける。上手くいけば比類のない記憶に残る瞬間を生み出せる。例としては、iPodのスクロールホイールやFacebookのいいね!ボタンなどが挙げられている。この方法を実現するには、マイクロインタラクションは抑制の行為という現実を受け入れ、一点に集中しそれを磨き上げなければならない。
一つのマイクロインタラクションを中心にして一つの製品を作り上げる方法
複雑なアプリや機能になってしまいそうなものを複数のマイクロインタラクションに分け、その一つ一つについて一つの製品を作るというアプローチ。「たったひとつの仕事を巧みにこなす製品」を作るというアプローチ。
多数のマイクロインタラクションを一つのデジタル製品にまとめ上げる方法
ひとつの機能やひとつの製品全体を「マイクロインタラクションの集合」と捉え、ひとつの複雑なデジタル製品にまとめあげる。
本書の意義
本書の意義は、「マイクロインタラクション」という呼び名を作ったことでしょう。
前書きにも記載されていますが、「細かいけれど改良する余地が絶対にある要素」を概念化し、「こよなく愛する製品」と「許容範囲の製品」を分ける要因になるということを示したことで、”細部”にこだわることができる理由として主張しやすくなったと思います。
ただし、多くのプロジェクトではこのマイクロインタラクションを磨くまで手が回らないのではないかと思います。
特に、サービス全体を考えたりしていると、UIはほんの一部にすぎないため、細部までこだわってもなぁ…という感じになってしまうこともあるかと思います。
そういう時に大事なのは、プロダクトに対して情熱を持ち、それがどう使われるのかを本当に理解してる経営者がいるかどうかなのかなと思います。
読書 UI UX マイクロインタラクション 書評
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